荒川区が作った防災のためのアプリ『新荒川区防災アプリ』はリアルな災害下で頼りになる実用的なアプリ

2021/11/11

今年6月、荒川区の新しい防災アプリがリリースされました。
 

本記事では、以前荒川区が作った防災アプリ『荒川区防災アプリ』(以下『旧アプリ』)と、ニューリリースの『新荒川防災アプリ』(以下『新アプリ』)を比較することで、新アプリが非常に優れたアプリになっていることを見ていきたいと思います。

旧アプリ

新アプリ

目次

  • リアルなユーザー目線〜今まさに被災中の荒川区民が使うべきアプリになっているか
    • 旧アプリとの比較でわかる圧倒的な進化
      • 旧アプリ最大の欠点
      • 新アプリは災害下で必要な情報だけを集約
    • 旧アプリ『荒川区防災アプリ』のアップデートのスピードと、後継アプリ『新荒川防災アプリ』での進化に荒川区役所防災課の本気が見えた
  • まとめ

リアルなユーザー目線〜今まさに被災中の荒川区民が使うべきアプリになっているか

旧アプリとの比較でわかる圧倒的な進化

旧アプリ最大の欠点

新・旧アプリの最大の違いが、アプリトップの設計に端的に現れています。

左が旧・右が新アプリ

旧アプリTOP

新アプリTOP

左の旧アプリも、今まさに被災している人が、今後の避難行動の指針として開くことを想定したアプリであったはずです。

ところが旧アプリでは、そんな被災者に、まずモードを選ばせます。
これは旧アプリの基本設計思想なんでしょうが、ゲームのような設計です。

地震モード

水害モード

それぞれのモードを選ぶとまた選択肢が現れる

被災者が災害発生のタイミングで、アプリ上で発生している状況を絞っていくことで、行動のオプションが表示されるという、ナビゲーションアプリの様相です。
そもそも、ナビゲーションに従った結果、どんな情報が得られるのかは従ってみないとわかりません。


非常にまどろっこしい設計です。
今まさに被災しているユーザーがスマホ画面に意識を向け続けながら、得られる情報が何なのか、そもそも当てになるのか、定かではない状況下で辛抱強くアプリを操作し続けることを要求します。


また、トップページの地震モード・水害モードの下には、平時に読むべき『防災ガイド』があったり、アプリ外へのリンクがあったりと、災害下で緊急性の薄い情報へのアクセス経路が所狭しとレイアウトされています。


アプリの方向性がブレブレです。
むしろ、平時の防災啓蒙アプリのようです。
だとすれば、それはアプリでやる必要性がかなり薄い事のように思います。
「机上の設計」の誹りは免れない印象です。

新アプリは災害下で必要な情報だけを集約

一方で、新アプリでは情報は一覧表示されています。

被災者はこのアプリでどんな情報が得られるのか、トップページを見ただけでわかります。


そして、その情報が、災害下で必要にして十分になっているか、きちんと吟味されているのがわかります。


旧アプリが災害情報への『ポータルアプリ』だとすれば、新アプリは荒川区に起こっている災害情報と避難情報の『リアルタイムまとめアプリ』です。


新アプリリリースを受けて、私の率直な感想は「欲しかったのはまさにこのアプリ」でした。

旧アプリとの比較でわかる圧倒的な進化

荒川区防災アプリ

新荒川区防災アプリ

実は、旧アプリについてずっと記事を書こうと思っていました。


旧アプリはリリース当初非常に使い勝手の悪いアプリで、記事の内容もアプリの『イマイチなところ・悪いところ』が基本路線で、『防災の竹内』として上から目線でガンガンダメ出ししていくつもりでいました。


なぜ書かなかったかと言うと、旧アプリはそのアップデートのスピードが速く、記事にまとめる隙もなく、絶えずバージョンアップしていたからです。


下書きの記録を見ると、初めに記事を企画したのが令和2年3月でしたがそこから1年余り、ダメ出し箇所を見つけるそばから、その問題点が改良されていったのです。


その度に記事も書き直し、方向性も最初は『ダメ出し』一辺倒から、『良くなった所・まだイマイチな所』と変化していき、最終的にはある一点を除いてダメ出しを思い付かなくなっていました。


改良されてきた問題点は、『戻るボタンがない』『現在見ているページ階層のナビゲーションがない』『地図上の情報が整理されていない』など、主にユーザーの使い勝手悪さの問題でした。
(『地図が端末側に保存され、オフラインでも見られるようになった』など設計の改良もあったにはあったのですが。)
いずれにせよ、改良箇所は非常に的確だと感じていたので、感心しながら見ていました。

アップデートの成果に、運営している区役所職員が優秀で、また本気で向き合っている姿勢がはっきりと表れていました。


ただ、最後の欠点こそが、先に挙げた旧アプリの根幹にある『基本設計思想自体の錯誤』という致命的な欠陥だと思っていたので、ツギハギ程度のアップデートで解決されるとは思っていませんでした。


ところが、躊躇いなく旧アプリを捨てるという英断を下し、新アプリが非常に優れた設計でリリースされました。


私は、私自身のブログ記事を企画する中で、偶然にもこの一連の『防災アプリ施策』を追いかけたことになったわけですが、結果として荒川区役所防災課とこの新アプリに絶大な信頼を持つに至ったのです。

まとめ

 行政の監視は議会・区議会議員の仕事の一つですが、今回当初の思惑と大きくずれて、ほとんど感動したと言って良いほどポジティブに評価することになりました。


シビアなことを言えば、本当にこのアプリが有用かどうかは「実際に災害時に機能したか」という検証なしに論ずることはできません。


ただ、少なくとも私・竹内あきひろはこれまでの経緯から、いざと言う時のためにこの新アプリをスマホに入れておくことで、アプリの向こうに緊張感を持って運営に当たっている荒川区役所職員を感じて、災害への備えとして幾許かの安心を得ていることは現時点での事実です。


是非是非、この評価を区民の皆様に共有いただき、これからも進化し続けるであろう『新荒川区防災アプリ』を活用いただきたいと思っています。


新アプリの使い方や有用性など、具体的な記事はまた改めて書きたいと思います。