政治入門⑤間接民主主義を単純化してみた
この記事では、投票の意味を考えるための準備として、極々単純化したモデルを設定したいと思います。
その名も『日本国政府株式会社』です
目次
- 日本国政府株式会社
- 会社紹介
- 使命と社則
- 使命
- 社則
- 会社組織図
- お仕事紹介
- 現場
- 現場リーダー
- 代表者
- 取締役
- フィードバックの経路
- 使命と社則
- 会社紹介
- カレー味のジレンマの続き
- もう一度投票率低下を考える
プロローグ・カレー味のジレンマ
プロローグ・カレー味のジレンマ
それは、ある秋の晴れた日の代表者会議での出来事でした。
我が社の現場リーダーが宣言しました。
「『カレー味のう○こ』か『う○こ味のカレー』か、今こそ取締役の皆様の信を問いたい!」
現場リーダーの号令に、なぜか取締役の代表者たちは万歳三唱し、代表者会議が解散しました。
現場リーダーは「これは『カレー味選挙』である!」とケレン味たっぷりな声色で命名しましたが、当日の内にWikipediaにはしっかりと『う○こ解散』と掲載されました。
任を解かれた代表者たちと現場リーダーは、一旦取締役に戻りましたが、既に解任前から再任を目論んでいたらしく、元代表者たちや近しい取締役たちとなんかやってます。
毎度毎度、似たようなメンツが手を挙げるみたいな茶番がデフォルトになったのはいつからでしょう。
少なくとも、私が取締役になった時には既にそうなって久しい感じでした。
日本国政府株式会社
会社紹介
使命と社則
さて、我が日本国政府株式会社をざっくり見てみましょう。
使命
胡散臭いですね、秩序とか。
それ以前に『使命』とかがすでにもう胡散臭いです。
その通りです。
胡散臭いんです。
なので、日本国政府株式会社に使命はありません。
ただし、使命がないとはいえ、存在意義はあります。
社則
社則の柱は三つです。
- 会社は株主の物である
- 株主の基本的人権を保障すること
- よその政府株式会社と揉めるとき暴力使うな
です。
他にも、あるんですが、結構大雑把な最低限の規則です。
ご興味のある方はご覧ください。
量的には大したことないのですが、いかんせん古いものなので若干読みづらいです。
社則以外の細かいルールは、必要に応じてその都度代表者会議で決めたり、修正したりしてます。
会社組織図
取締役会→代表者会議→現場リーダー→現場
シンプルですね。
シンプルなのはいいことです。
この組織図でわかる通り、取締役会は会社の最上位の組織です。
社則は取締役会だけが変えられるので、その取締役会が社則に縛られていたらバグってしまいます。
お仕事紹介
現場
具体的にどんなサービスを提供している会社なのかはよく分かりません。
現場で働いている人たちは、超絶難しい試験をパスした人たちなんで、超絶優秀です。
現場リーダー
会社が具体的に何をやるかは現場リーダーに任せてるんで、まあなんか一生懸命やってくれているんだと思います。
代表者たちの中から互選で決まります。
現場のリーダーであって、代表者たちのリーダーってわけではありません。
現場リーダーは就任するとき、代表者の中から部下を選べるんで、これが混乱の原因かもしれません。
その時は、自らを含む代表者会議を解散して取締役会による代表者の入れ替えを図ります。
代表者
代表者たちは現場がちゃんと仕事してるか見張るのが仕事です。
もし、会社が株主全体の利益に反するようなサービスを断行しようとした時に、現場リーダーを解雇し、株主の利益を保全します。
日常的な業務としては、現場リーダーがやりたいと思ったサービスを実際に行う際に、現場にどんなルールが必要なのかを考えルールを設定します。
現場だけでなく、株主同士のトラブルを公平に解決し、株主の生活が潤滑に廻るよう、株主が共通して守るべき最低限のルールを決めたりもします。
代表者は現場リーダーの管理者であると共に、現場のルールメーカーです。
一方、代表者としても一生懸命勉強してはいるようです。
現場が全部わかるわけじゃないんで、現実的に仕方ないっちゃ仕方ないって感じです。
取締役たちの中から立候補を募り、選挙で決まります。
取締役
最後に我々、取締役です。
全株主のうち18歳以上になると自動的に就任します。
積極的に行う仕事はたった一つです。
ただ、そのたった一つの仕事を遂行するために日常的に2つの役割を担っています。
積極的に仕事しようとしたり、業務について勉強しようとしたりしなくても大丈夫!
初心者でも安心!誰でもできる簡単な業務です!
恩恵・迷惑ともに、ただ生きているだけでガンガン被りますので、ガンガン業務が捗ります。
ご安心ください。
人柱となって受けた恩恵と迷惑のうち、恩恵は忘れてOKです。
というより、恩恵はあまり意識することはありません。
享受して当然と思うのが恩恵です。
問題なのは迷惑です。
日本国政府株式会社の現場は、超優秀ですが、所詮は人間のやることです。
また、彼ら現場が従うべきルールも人間が作ったものです。
また、案外忘れがちですが、新たなサービスの提供によって、従来のサービスによって受けていた恩恵の劣化や消失も発生します。
これも一種の迷惑と言っていいでしょう。
それら、株主が日本国政府株式会社のサービスから受ける迷惑を取締役会を通じて代表者会議にフィードバックするため、株主を兼ねている取締役は会社の提供するサービスを厳しい目で監視します。
彼らは取締役ではありません。
お仕事に慣れたら、出来る限り気を配るようにしましょう。
フィードバックの経路
取締役は、サービスから被った迷惑・被っているらしい迷惑を改善すべく、取締役会で代表者を選びます。
もちろん社則によってです。
理念的な株主の総意は、現実的には代表者会議での合意で代用されます。
世に言う『間接民主主義』です。
カレー味のジレンマの続き
『カレー味のう○こ』か『う○こ味のカレー』か。
その選択肢に何の必然性があるのか、選択の結果で、株主の誰にどんな変化が起こるのか、全然見えません。
とは言え、現場リーダー含む代表者達やその周辺の取締役達は何やら難しい顔をして、やれ「最悪でもカレー味が最終ラインだ…」だの、やれ「人としての尊厳が…」だの、話し合っています。
意味こそ全く分からないものの、なんだか重大な決定のようであることだけは確かです。
取締役は必ずしも現場の事情に明るくはありません。
不勉強を責められたら言い訳はありませんが、それにしたって「『カレー味のう○こ』か『う○こ味のカレー』か」です。
どこから勉強したらいいのかすら見当もつきません。
取締役達の多くは、『日本国政府株式会社』以外に自分の本業を持っています。
また、家庭を持ち、子育て中の取締役達も決して少なくありません。
そもそも基本的に忙しいんです。
取締役全員が現場にそれほど明るくなくても、どうにか現場を管理するための『間接民主主義』であり『代表制』であったはずなのですが…。
もう一度投票率低下を考える
長々とモデルを設定しました。
お付き合いいただきありがとうございます。
後編に続く